新型コロナウイルスが世間を騒がせはじめてから既に半年以上経過しました。
当ブログでは、新型コロナがまだ国内で大きく広がっていない1月の段階から注意喚起を行ってきましたが、残念なことに予測はほぼ的中、国内や世界中で感染が拡大し現在に至っています。
今回は、今後も精度よく予測し続けるため、なぜ予想が当たったか、当時のTweetからふり返ってみます。
1月の段階
1月の段階で、武漢在住者の個人のSNS発信などによって中国の現状は一般の人でも見ることができた。もちろんSNSの情報だけ真偽を判断するのは難しく、公的機関や論文等の一次情報を確認しながら総合的に判断してきた。
時には、正確な一次情報(政府チャーター便での武漢からの帰国者の感染率)から、武漢全体の感染者数を概算、状況を推測していた。
新型コロナウイルスで日本人3人陽性とのニュース速報。200人中3人ってことは現時点で感染率1.5%。思いっきり概算入るけど、武漢人口1100万人の1.5%は16.5万人。えっ、多すぎ😨https://t.co/D3pJDp4smT
— JSM未来研 / Shin Joshima, Ph.D. (@Shin_JSM) January 30, 2020
当時、報道されていた武漢の感染者数は都市全体で数百人程度で、実際よりも少ないと感じていた。SNSなどでUPされている街の様子や医療現場の映像を見る限り、感染者数は少なくとも数千人~数万人規模のように思えたからだ。
ちょうどそのころ、政府からのチャーター便で武漢から日本人が帰国し始めており、PCR検査の結果、帰国者200人のうち3人が感染との報道が入った。遠い異国の地で、少なくとも平均的な現地の人よりも衛生状態に気を遣っているであろう武漢在住の日本人の方々の感染率が1.5%(200人中3人)だったので、その感染率の高さに驚いていた。
武漢は東京とあまり変わらない規模の大都市で、そのうち1.5%も感染しているとすると感染者は15万人以上、、、大変なことになると思った。中国の人たちは春節を迎えヨーロッパ、アメリカ、そして日本と世界中を旅行し、世界中に感染拡大の懸念があった。
わたしは京都駅をよく利用していたが、ちょうどこの時期中国人はもちろん世界中の観光客でごった返しており、JRの駅改札付近は時間帯によっては身動きができない位混雑していた。今でいう「3密」状態。しかもマスクをしていない人多数。
1月という極早期の段階でも、無症状感染者からの感染は示唆されていたため、
「無症状でも」マスクをすることを呼び掛けていた。
(後になって、もっと大々的に呼びかけるべきだったと反省)
新型肺炎コロナウイルスの感染予防には、従来の飛沫感染のウイルス対策同様、マスク、メガネ(ゴーグル)、手洗い、うがい、不要不急の外出を控えること。特に症状が無くても感染していて他人に移す可能性があるので、「無症状でも」マスクをして外出する事が大切。 https://t.co/FSJpKDeg2E
— JSM未来研 / Shin Joshima, Ph.D. (@Shin_JSM) January 30, 2020
また、この時点でインフルエンザよりも致死率が高いことにも言及していた。致死率は当時の3%より若干低くなっている(2020年8月現在の新コロによる致死率は日本で約2%)が、依然としてインフルエンザよりも随分高い。
新型コロナウイルスの致死率、3%と言われているが、これが本当だとしたら結構高い値。感染者10万人あたり3千人死亡なんて想像絶する。インフルエンザ感染者の致死率は0.001%、70歳以上の高齢者でも0.03%。一番大切なのは感染を広げないこと。https://t.co/D3pJDp4smT
— JSM未来研 / Shin Joshima, Ph.D. (@Shin_JSM) January 30, 2020
さらに、早い段階での移動制限についても提言してきた。早期の感染拡大防止のために、移動制限は極めて有効。早ければ早いほど短期間で効果を発揮、中長期的な視点では早く制限した方が経済への影響も最小限におさえられるからだ。。。にもかかわらず、移動制限が遅れて感染拡大が広がっていったのは周知の事実である。
緊急自体宣言は想定していたが、移動制限が出なかったのは全くの想定外。無症状の感染者がわかった時点で、移動制限なしでどうやって早期に食い止めるのだろう。 https://t.co/R6t6FMmSZ4
— JSM未来研 / Shin Joshima, Ph.D. (@Shin_JSM) January 30, 2020
早期収束化には、移動制限は有効な感染抑制策なんだけどな。
— JSM未来研 / Shin Joshima, Ph.D. (@Shin_JSM) January 30, 2020
新型コロナウイルス肺炎、繰り返すが早期収束には移動制限が有効。目先の小さな損失回避のために、後で大損害を被らないよう。
— JSM未来研 / Shin Joshima, Ph.D. (@Shin_JSM) February 13, 2020
武漢の二の舞にならんように。移動制限しないと指数関数的に増えていく懸念。一旦ガチガチに制限する。緩めるのは後から。できるだけ早い段階でガチガチに制限するのが肝要。 https://t.co/clgKSjSZdy
— JSM未来研 / Shin Joshima, Ph.D. (@Shin_JSM) February 14, 2020
感染力が強いので、最初のうちは増えてないように見えても後になって激増する懸念。週に2倍ずつ増えても70日後には、2,4,8,16,32,…..1024になる。そこから2048.4096.8192と爆発的に増えているのが現在の中国。2.4.8の時に想像力を働かせて先手を打つことが必要。
— JSM未来研 / Shin Joshima, Ph.D. (@Shin_JSM) February 15, 2020
マスクの必要性
マスクの必要性についても、一貫して訴求してきた。科学の知識があったので、周囲に惑わされずに済んだ。
各種報道やSNSの書き込みを見ていると、「マスクの効果が100%でなかったら(たとえ8割効果があったとしても)『効果なし』」と断定するゼロイチ思考の極端な人や、「一般の人はマスクを無意識に触るからウイルスが手に付着して『効果なし』」とすりかえて話される方が案外多くてびっくりした。
幸い、当ブログの読者の皆様は科学リテラシーの高い方ばかりで(読者の方々とやりとりしていて専門家の私でも本当に勉強になるご意見・ご質問が多い)、まったく心配していないが、日本全体で考えると科学リテラシーの底上げがもっと必要だと痛感している。
私も同意見。マスクは有効。社会学的に有効との事だが、科学者の立場でも有効ですよ。ただ、1億枚/週は国民あたり週1枚弱でまだまだ不足。再利用や自作などの工夫が必要かも。
コロナ防衛「当然なのにできない」不都合な真実 | コロナウイルスの恐怖 | 東洋経済オンライン https://t.co/pe9ste23UT— JSM未来研 / Shin Joshima, Ph.D. (@Shin_JSM) February 18, 2020
無症状の人からでも移るのに、皆がマスクつけないと余計に感染を広げる恐れあり。健康でも念のためマスクをつけて、一人一人が移さない心がけを、が正解かと。それより転売規制、マスク増産を!
「健康ならマスクをつけないで」と呼び掛ける新聞広告=シンガポール(共同) https://t.co/k0EPSlcvAj
— JSM未来研 / Shin Joshima, Ph.D. (@Shin_JSM) February 28, 2020
マスク不要ばかり言うから、無症状なのでマスクせず咳払いしたり、大声でしゃべってツバ飛ばしまくる人が一定数出現。もし無症状感染者だったら他人にうつしてしまう。世界中で広がっている理由のひとつかと。軽々しくマスク不要と言えないよ。。
感染予防にマスク着用不要 https://t.co/NYWrIeR4xA
— JSM未来研 / Shin Joshima, Ph.D. (@Shin_JSM) March 1, 2020
閉鎖空間でのイベント等を当面行わないこと。マスクは完全ではないが、飛沫を空間内に飛散するのを押さえる効果がある。たとえ完全でなくとも、飛散量や飛散距離を半分にでも押さえられたら、空間的にはざっくり1/2の3乗、つまり1/8にリスクを抑えられる。 https://t.co/6bMi1CLiYm
— JSM未来研 / Shin Joshima, Ph.D. (@Shin_JSM) March 1, 2020
誰が感染しているかわからない状態。無症状でも人に移すのに、マスク不要なんて言ったら勘違いする人続出する。マスク足らんから基準緩めるのはやめよう。不要な外出抑えればマスク消費も感染も抑えられる。優先すべきはマスク不足の解消。転売規制と国内外のマスク増産体制の構築が急務。 https://t.co/75O85MNkVt
— JSM未来研 / Shin Joshima, Ph.D. (@Shin_JSM) March 1, 2020
みんな良記事と言うが、、、マスク不要は強引でしょう。無症状者から感染拡大するよ。あと、マスクのウイルス補足原理、間違っている。単純に網の目の大きさじゃない。。
文系女編集者がわかるまで感染症医に聞いた「マスクが新型コロナ予防にならない」理由 https://t.co/bprbCNr8MJ
— JSM未来研 / Shin Joshima, Ph.D. (@Shin_JSM) March 7, 2020
マスクのウイルス捕捉原理は、日本エアロゾル学会さんのほうでも注意喚起されているのでご参考まで。
私は生命科学者であると同時に材料科学者でもあるので、ウイルスがマスクに捕捉される原理は分かっていたし、少なくとも大学の一般教養レベルの物理、化学の知識があれば、慣性衝突やさえぎり効果以外にブラウン運動と静電吸着を利用してマスクの捕捉効率を高めているぐらいは容易に理解できる。
ウイルスの専門家や医師でもマスクの捕捉原理を知らない人が案外多いのは、基礎的な科学の教養が十分でない状態でも専門教育課程に進めてしまう、学校教育制度の弊害かと思っている。
今回のコロナ予測は、別に難しい予想をしたわけではない。いろんな分野の科学リテラシーがあれば、普通に予測できたことである。多くの人は科学リテラシーが十分でないため、マスク不要と言ってみたり、武漢は対岸の火事、新コロは風邪だと言ってみたり、移動制限の実施が何か月も遅れて後手後手になっていたり、予測が普通にできなかったのだろう。
今回はマスクの例を取り上げたが、別にマスクに限った話ではない。科学を知らなすぎることによって、どうしてこんな方向に世論が進んでいくのだろう?という現象が多々起きている。特に、企業を動かす経営者層や国を動かす政策決定者層(国民でもあるのだが…)の科学リテラシーの欠如は致命的である。現実問題として中長期の話ではなく、年々国際競争力が低下してきている。今回のコロナ騒動でも判断を誤ればわずか数ヶ月で経済が傾いていく。それで不利益を被るのは国民自身だ。
適切な科学教育による、国民全体の科学リテラシーの底上げが急務である。