【ほぼ的中…】新型コロナ対策に関する過去のツイートを振り返ってみる

新型コロナウイルスが世間を騒がせはじめてから既に半年以上経過しました。

当ブログでは、新型コロナがまだ国内で大きく広がっていない1月の段階から注意喚起を行ってきましたが、残念なことに予測はほぼ的中、国内や世界中で感染が拡大し現在に至っています。

今回は、今後も精度よく予測し続けるため、なぜ予想が当たったか、当時のTweetからふり返ってみます。

 

1月の段階

SNSなどによって中国の感染拡大は緊迫な状況であることがわかってきた。
まだこの段階では、大規模な感染は中国国内に限局、日本国内はヨーロッパ、アメリカはそれほど深刻には受け止められていなかった。

 

1月の段階で、武漢在住者の個人のSNS発信などによって中国の現状は一般の人でも見ることができた。もちろんSNSの情報だけ真偽を判断するのは難しく、公的機関や論文等の一次情報を確認しながら総合的に判断してきた。

時には、正確な一次情報(政府チャーター便での武漢からの帰国者の感染率)から、武漢全体の感染者数を概算、状況を推測していた。

当時、報道されていた武漢の感染者数は都市全体で数百人程度で、実際よりも少ないと感じていた。SNSなどでUPされている街の様子や医療現場の映像を見る限り、感染者数は少なくとも数千人~数万人規模のように思えたからだ。

ちょうどそのころ、政府からのチャーター便で武漢から日本人が帰国し始めており、PCR検査の結果、帰国者200人のうち3人が感染との報道が入った。遠い異国の地で、少なくとも平均的な現地の人よりも衛生状態に気を遣っているであろう武漢在住の日本人の方々の感染率が1.5%(200人中3人)だったので、その感染率の高さに驚いていた。

武漢は東京とあまり変わらない規模の大都市で、そのうち1.5%も感染しているとすると感染者は15万人以上、、、大変なことになると思った。中国の人たちは春節を迎えヨーロッパ、アメリカ、そして日本と世界中を旅行し、世界中に感染拡大の懸念があった。

わたしは京都駅をよく利用していたが、ちょうどこの時期中国人はもちろん世界中の観光客でごった返しており、JRの駅改札付近は時間帯によっては身動きができない位混雑していた。今でいう「3密」状態。しかもマスクをしていない人多数。

1月という極早期の段階でも、無症状感染者からの感染は示唆されていたため、
「無症状でも」マスクをすることを呼び掛けていた
(後になって、もっと大々的に呼びかけるべきだったと反省)

また、この時点でインフルエンザよりも致死率が高いことにも言及していた。致死率は当時の3%より若干低くなっている(2020年8月現在の新コロによる致死率は日本で約2%)が、依然としてインフルエンザよりも随分高い。

さらに、早い段階での移動制限についても提言してきた。早期の感染拡大防止のために、移動制限は極めて有効。早ければ早いほど短期間で効果を発揮、中長期的な視点では早く制限した方が経済への影響も最小限におさえられるからだ。。。にもかかわらず、移動制限が遅れて感染拡大が広がっていったのは周知の事実である。

マスクの必要性

マスクの必要性についても、一貫して訴求してきた。科学の知識があったので、周囲に惑わされずに済んだ。

各種報道やSNSの書き込みを見ていると、「マスクの効果が100%でなかったら(たとえ8割効果があったとしても)『効果なし』」と断定するゼロイチ思考の極端な人や、「一般の人はマスクを無意識に触るからウイルスが手に付着して『効果なし』」とすりかえて話される方が案外多くてびっくりした。

幸い、当ブログの読者の皆様は科学リテラシーの高い方ばかりで(読者の方々とやりとりしていて専門家の私でも本当に勉強になるご意見・ご質問が多い)、まったく心配していないが、日本全体で考えると科学リテラシーの底上げがもっと必要だと痛感している。

マスクのウイルス捕捉原理は、日本エアロゾル学会さんのほうでも注意喚起されているのでご参考まで。

私は生命科学者であると同時に材料科学者でもあるので、ウイルスがマスクに捕捉される原理は分かっていたし、少なくとも大学の一般教養レベルの物理、化学の知識があれば、慣性衝突やさえぎり効果以外にブラウン運動と静電吸着を利用してマスクの捕捉効率を高めているぐらいは容易に理解できる。

新型コロナウイルスや花粉症でのマスク装着に関する日本エアロゾル学会の見解(2020 年 2 月 21 日付)[PDF]
現時点でリンク切れを起こしているため、Wayback Machineのアーカイブを参照

ウイルスの専門家や医師でもマスクの捕捉原理を知らない人が案外多いのは、基礎的な科学の教養が十分でない状態でも専門教育課程に進めてしまう学校教育制度の弊害かと思っている。

今回のコロナ予測は、別に難しい予想をしたわけではない。いろんな分野の科学リテラシーがあれば、普通に予測できたことである。多くの人は科学リテラシーが十分でないため、マスク不要と言ってみたり、武漢は対岸の火事、新コロは風邪だと言ってみたり、移動制限の実施が何か月も遅れて後手後手になっていたり、予測が普通にできなかったのだろう。

今回はマスクの例を取り上げたが、別にマスクに限った話ではない。科学を知らなすぎることによって、どうしてこんな方向に世論が進んでいくのだろう?という現象が多々起きている。特に、企業を動かす経営者層や国を動かす政策決定者層(国民でもあるのだが…)の科学リテラシーの欠如は致命的である。現実問題として中長期の話ではなく、年々国際競争力が低下してきている。今回のコロナ騒動でも判断を誤ればわずか数ヶ月で経済が傾いていく。それで不利益を被るのは国民自身だ。

適切な科学教育による、国民全体の科学リテラシーの底上げが急務である。